リアス式海岸の先端に、静かな港町がある。 東日本大震災から13年。 大船渡はまだ、傷を抱えながら、それでも前を向いている。 そういう場所に来ると、旅の意味が変わる。 観光じゃなくて、会いに来る感覚。 海の匂いと、人の温かさが混ざり合う町だ。
大船渡のおすすめスポット
碁石海岸|1億8千万年前の地層が、波に削られて今もそこにある
遊歩道に踏み込んだ瞬間、空気が変わった。
潮の匂いが濃くなって、波音が足元から来る感じ。
碁石海岸の名前の由来は、黒い小石。
砂浜に無数の黒い玉が転がっている。
ひとつ拾ってみると、ずっしり重い。
これが1億8千万年前の地層から来ていると聞いて、手の中の石がまったく別物に見える。
ハイライトは「穴通磯」。
岩に穴が空いていて、その向こうに海が見える。
波が高い日は、穴から潮が噴き上がる。
タイミングが合えば10メートル近く上がるらしい。
運よく見られた。
思わず声が出た。
遊歩道は全長約4キロ。
ゆっくり歩いて1時間半くらい。
途中に休憩できるベンチもある。
靴だけはちゃんとしたものを履いていくこと。
サンダルで来ている人がいたけど、明らかに後悔している。
大船渡魚市場|朝5時の競り場に、三陸の本気が詰まっている
朝4時50分にホテルを出た。
まだ暗い。
港に近づくにつれて、エンジン音と人の声が聞こえてきた。
大船渡魚市場の一般向け見学は、事前申込みが必要。
地元の漁協に連絡して、案内してもらった。
競り場に入ると、床が濡れていて、魚の箱が山積みになっている。
サンマ、カツオ、サケ。
三陸で水揚げされたものが、そのまま並んでいる。
競りの声は思っていたより静かだ。
手のサインで値段が決まっていく。
5分も経たないうちに、大量の魚が次の場所へ運ばれていった。
速い。無駄がない。
見学後、近くの食堂で食べた朝定食が最高だ。
カツオの刺し身と、ご飯と、味噌汁で850円。
刺し身の色が、スーパーで見るものと全然違う。
赤というより、鮮やかな赤黒。
噛んだ瞬間に、あ、これだ。
三陸花火|海の上に咲く花火は、追悼と祝福が混ざっている
三陸花火競技大会は、毎年10月に大船渡で開かれる。
全国の花火師が腕を競う大会で、2019年から始まった。
震災後の復興を願って生まれたイベントだ。
会場は大船渡湾。
海に向かって花火が上がる。
リアス式の地形が音を反射させるから、胸に響く感覚が普通の花火と違う。
低く、重く、全身で受け止める感じ。
開始は18時半ごろ。
人出は約10万人。
小さな港町に、これだけの人が集まる。
早めに場所を取らないと、まともに見られない。
15時には現地にいた。
一番印象的だったのは、海面スレスレで開く花火。
水に光が映って、上下に広がる。
隣にいた地元のおじさんが「震災の年は真っ暗だった」とポツリと言った。
その言葉が、ずっと頭に残っている。
終演後の帰り道は混雑する。
1時間くらい動けないつもりで、食べ物と飲み物を持参するといい。
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大船渡への行き方
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