高松港からフェリーで約40分。 男木島に近づくと、防波堤のモザイクタイルが目に飛び込んでくる。 ここは人口150人ほどの小さな島だ。 猫がいて、アートがあって、灯台がある。 それだけなのに、なぜか何度でも来たくなる場所がある。
瀬戸内海に浮かぶ男木島は、アート作品が点在する創造の島。男木島灯台から望む海の青さと島全体に息づく現代アートが融合する景観が格別。石畳の坂道を登れば、「男木島の魂」や「オンバ・ファクトリー」といった個性的な施設が出迎える。猫たちが日向で昼寝をしている光景も印象的で、時間が異なるペースで流れているかのよう。瀬戸内国際芸術祭の開催時期には世界中から訪問者が集まり、この小さな島全体がギャラリーと化す。古さと新しさが共存する空気感は、訪れた人の心に深く残る。
男木島のおすすめスポット
男木島灯台|坂の先に、明治が待っている
港から灯台まで、歩いて約20分。
石畳の細い路地を抜けると、急に視界が開ける。
白い灯台が、青い空に突き刺さるように立っている。
明治28年に建てられた石造りの灯台。
日本に数少ない総御影石造りで、国の登録有形文化財だ。
内部は螺旋階段で上まで登れる。
段数は106段。
いい感じに息が切れたところで、外に出る。
瀬戸内海が360度広がっている。
しまなみ海道方面の島々がかすんで見える。
風がつよくて、帽子を押さえた。
観光客はほとんどいない。
平日の昼下がり、ここを独り占めにしている。
静かすぎて、逆にこわいくらいだ。
男木島の魂|島の入口に、静かな異物がある
フェリーを降りて最初に目に入るのが、これだ。
港の待合所の屋根に、白い文字のようなものが絡みついている。
「男木島の魂」は、ジャウメ・プレンサというスペイン人アーティストの作品だ。
2010年の瀬戸内国際芸術祭のために作られた。
近づくと圧倒される。
世界中の言語が混ざり合った文字が、うねるように連なっている。
日本語もある。アラビア語もある。ハングルもある。
「これ、文字なの?」と一緒に行った友人が首をかしげた。
そう、意味が読み取れそうで読み取れない。
そのもどかしさが、ずっと頭に残る。
島に来るたびに、ここで立ち止まってしまう。
フェリーの時間まで5分しかなくても、立ち止まる。
そういう作品だ。
オンバ・ファクトリー|島のおばちゃんが、アーティストになった場所
「オンバ」とは、この島の言葉でおばあちゃんのこと。
その名の通り、島のお年寄りの女性たちが作ったアート作品が並んでいる。
ステンレスのボウルで作った花、再生素材で作った人形。
値段がついているものもある。
1000円とか2000円とか、そんな感じだ。
中に入ると、おばちゃんたちがいる日もある。
そのとき、世間話が始まる。
「どこから来たん?」「船、何時に帰るん?」
気づいたら30分経っている。
作品よりも、その会話が記憶に残っている。
ここに来ると、「アート」の意味をちょっと考え直す。
うまくできているとかじゃなくて、
誰かの手から生まれたものが、ここにある。
そういうことなんだ。
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男木島への行き方
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