「ここは本当に日本か」。 バスを降りた瞬間、硫黄の匂いが鼻をつく。 岩肌がむき出しの山肌。風が鳴る。 死者を弔うために人々が積み上げた石が、どこまでも続いている。 恐山は、観光地じゃない。 それでも、なぜか来てしまう場所だ。
恐山エリアのおすすめスポット
恐山大師堂|石と風と、生きている人間の祈り
入山料は500円。
それを払って門をくぐった瞬間、空気が変わる。
じゃりじゃりと砂利を踏みながら進む。
左右に風車がずらりと並んでいる。
くるくる、くるくる、回り続けている。
誰かが誰かを思って、ここに立てたものだ。
大師堂の前で手を合わせた。
別に信仰心が厚いわけじゃない。
でも自然とそうなった。
お堂の中にはろうそくが灯っていて、線香の煙がゆっくり上がっている。
イタコの口寄せが行われるのは、7月と10月の大祭のときだけ。
普段は静かなものだ。
それでも、境内を歩いていると何か重いものを感じる。
観光客は確かにいる。
でも誰も大声を出さない。
自然とそうなる場所、だ。
宇曽利湖|この青さは、現実じゃない
境内の奥を進むと、突然視界が開ける。
宇曽利湖だ。
息をのんだ。
嘘みたいにエメラルドグリーンの水面が広がっている。
強酸性の湖だから、魚はほとんど棲めない。
水辺の砂は白く、岩肌は赤茶けている。
まるで別の惑星みたいだ。
湖畔には「極楽浜」という名前がついている。
この景色を前にすると、その名前が妙に腑に落ちる。
晴れた日の青さは特別だ。
空の青と湖の青が混ざり合って、境界線がわからなくなる。
風が強くて、波紋が次々と広がっていく。
長い時間、ただ眺めている。
「きれい」とか「すごい」とか、そういう言葉じゃ足りない感じがした。
写真を撮ったけど、あの色は再現できない。
こればかりは、自分の目で見るしかない。
恐山温泉|硫黄と静寂の、ひとり湯
恐山には、境内の中に温泉がある。
入山料を払えばそのまま入れる。
追加料金なし。
脱衣所は簡素そのもので、シャンプーも何もない。
お湯だけだ。
白濁した硫黄泉で、肌がぴりっとする。
pH2台の強酸性。
浴槽はこぢんまりしていて、4〜5人で満員になる。
男湯・女湯のほかに「古滝の湯」「薬師の湯」など複数の湯小屋がある。
空いていれば貸し切り状態になることもある。
実際、30分ほど一人で入っている。
外から風の音だけが聞こえる。
硫黄の匂い。
お湯の音。
こんな場所で温泉に入るなんて、思ってもいない。
なんだか不思議な気分だ。
湯上がりはしばらく肌がつるつるする。
タオルと着替えは必ず持参すること。
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恐山エリアへの行き方
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