夏山でも秋の紅葉でもなく、冬の尾瀬に行った。 雪に埋もれた木道を踏みしめるたびに、 ギシッ、という音だけが響く。 観光客は誰もいない。 それが、本当の尾瀬だ。 標高1400メートルの湿原は、冬になると別の顔を見せる。 静かすぎて、怖いくらいだ。
尾瀬のおすすめスポット
尾瀬ヶ原|雪の下に、夏が眠っている
鳩待峠から歩くこと約1時間。
尾瀬ヶ原の入口に立ったとき、声が出ない。
360度、白。
ただ、白。
夏には水芭蕉が咲き乱れるあの湿原が、
完全に雪に覆われている。
木道は半分埋まっていて、
ところどころ踏み外すとズボッとはまる。
それが、またおもしろい。
至仏山が正面にどっしり構えていて、
燧ヶ岳が右手に見える。
この景色を独り占めしている。
冬季はビジターセンターも閉まる。
トイレも使えない。
だから準備は夏の倍いる。
携帯トイレは必携だ。
風が出てくると体感温度が一気に下がる。
マイナス15度を体験したのは、ここが初めてだ。
寒いのに、離れたくない。
尾瀬沼|凍った湖面に、足跡をつけた
尾瀬沼へのルートは、大清水から入った。
片道約2時間半。
冬は誰も来ない。
ガイドと2人で歩いた。
沼山峠を越えると、突然視界が開ける。
そこに尾瀬沼があった。
全面凍結している。
厚さは20センチ以上あると聞いた。
恐る恐る湖面に乗った。
ビリッという音がしたとき、さすがに足が止まった。
でも割れない。
ガイドが「大丈夫、鳴るのは膨張音」と言った。
信じるしかない。
湖面の上に立って気づいたのは、
夏だったら絶対に見えない角度だということ。
燧ヶ岳が、湖の真上から見下ろしている。
その迫力は、写真では伝わらない。
尾瀬沼ヒュッテは冬季休業だが、
長蔵小屋は予約すれば冬でも泊まれる。
1泊2食付きで約1万2000円。
山小屋にしては、料理がうまかった。
燧ヶ岳|東北最高峰は、そう簡単には登らせてくれない
標高2356メートル。
東北最高峰という肩書きが、最初はピンとこない。
登り始めて3時間で、理解した。
御池ルートから入って、樹林帯を抜けると急登が始まる。
アイゼンを付けて、ピッケルを刺して、一歩一歩。
振り返ると、尾瀬沼が眼下に広がっている。
凍った湖面が、朝の光を反射して光っている。
あの湖面を歩いたのが、もう遠い記憶に感じた。
山頂付近は風が強く、体感温度はマイナス20度を超えた。
サングラスがないと雪目になる。
実際に持っていくのを忘れて、帰り道は目が痛かった。
それでも山頂から見た景色は、今でも目に焼き付いている。
尾瀬ヶ原、尾瀬沼、会津駒ヶ岳、那須連山。
全部が白かった。
冬の燧ヶ岳は、初心者が単独で行く山ではない。
ガイド費用は1人約2万5000円だったが、
それでも安い。
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尾瀬への行き方
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