本州の、いちばん北の果てまで来てしまった。 そう思う場所が、下北半島にはある。 霊場の硫黄の匂い、断崖に打ちつける波、そして日本最北端の漁港で食べるマグロ。 観光地という言葉が似合わない。 ここはもっと、ざらっとした、生きた場所だ。
下北半島のおすすめスポット
恐山菩提寺|硫黄の煙の向こうに、死者の声を聞く
むつ市街からバスで約40分。
近づくにつれて、空気が変わる。
硫黄の匂いが鼻をつく。
窓の外の山肌が白っぽくなる。
ここに来るまで、「霊場」という言葉をどこか軽く見ている。
境内に入った瞬間、その考えは消えた。
荒涼とした岩場に、風車がぐるぐると回っている。
赤い布をまとった地蔵が並ぶ。
誰かが置いていった靴が、石の上に残っている。
奥の宇曽利湖は、エメラルドに近い色をしている。
きれいだ、と思うより先に、怖い、。
その両方が同時にある場所だ。
拝観料は500円。
7月と8月だけ開かれる大祭の期間は、全国からイタコが集まる。
ふだんは静かすぎるほど静かで、それがかえって重かった。
秋になると積雪で閉山する。
行くなら6月か9月がいい。
仏ヶ浦|人間がつくったものではない、と思った
高さ30メートルを超える岩柱が、海岸線に並んでいる。
白緑色の凝灰岩が、波と風に削られて今の形になった。
2000万年かけて。
佐井村の港から遊覧船で約30分、片道1,800円。
船を降りると、砂浜ではなく岩場に立つことになる。
足元が不安定で、スニーカーでは少し怖かった。
岩の名前がいい。
如来の首、五百羅漢、天龍頭。
誰かが「仏の浦」と名づけたのが、正直なところよくわかる。
そういう形をしている。
上陸できる時間は約30分。
短い、と最初は思った。
でも30分いれば十分だ。
ずっといたら、どこかへ連れていかれそうな気がした。
大げさではなく、本当にそう感じた。
遊覧船は4月下旬〜10月下旬の運航。
荒天で欠航になることも多い。
当日の朝に必ず確認が必要だ。
大間崎|マグロの町の、朝の静けさと値段の現実
本州最北端の碑がある。
海の向こうに北海道が見える。
距離にして約17キロ。
こんなに近いのか。
大間といえばマグロ。
それは間違いない。
でも11月〜1月が漁のピークで、夏は実はシーズンオフに近い。
地元の人に聞いて、初めて知った。
岬の近くに食堂が数軒ある。
開店は10時か11時ごろが多い。
朝早く着いても、どこも開いていない。
入った店で頼んだのは大間マグロのづけ丼、2,800円。
東京で同じものを食べたら、おそらく倍はする。
脂が強すぎず、赤身のうまみがはっきりしている。
「おいしい」というより、「これが本物か」と思う感じ。
岬の駐車場は無料で広い。
レンタカーで来るのが現実的だ。
むつ市から車で約1時間15分。
フェリーで函館へ渡るルートも面白い。