福島市街から車で30分も走れば、別の時間が流れている。 標高750メートル。 硫黄の匂いが鼻をついた瞬間、ここに来た意味を感じた。 高湯温泉は、飾らない。 「秘境」という言葉を軽く使いたくないけれど、冬のあの景色を見たら、そう呼ぶしかない。
高湯温泉のおすすめスポット
旅館玉子湯|雪の中に、白い湯気が立ちのぼる
駐車場に車を停めた瞬間、もう別世界だ。
茅葺き屋根の湯小屋が、雪の中にぽつんと建っている。
江戸時代から続くというのも、納得した。
入浴料は700円。
日帰りで入れる時間は10時から15時まで。
浴槽は深くて、底が白く濁っている。
pH2.9の強酸性泉。
肌にピリッとくる感覚が最初は驚きだったけれど、上がったあとの肌がつるっとしている。
混浴の野天風呂もある。
雪が積もった木々に囲まれた空間で、湯気だけが動いている。
誰も喋らない。
鳥の声だけ聞こえる。
「玉子湯」という名前は、硫黄の香りが温泉卵に似ているから。
なるほど。
嘘のないネーミングだ。
安達屋旅館|湯治宿の静けさに、体が溶けていく
チェックインは15時。
フロントで鍵を受け取って、廊下を歩く。
古い木の床が、きしむ音がした。
それが気にならない。
むしろ、いい音だ。
安達屋の源泉は自家源泉。
大浴場は朝6時から22時まで何度でも入れる。
1日3回入った。
湯温は43度前後。
入りやすい温度で、気づいたら30分経っている。
部屋から見える山が、夕方になると赤く染まる。
標高が高いから、日が落ちるのが早い。
17時にはもう暗かった。
夕食は地の食材がならぶ。
会津の馬刺し、地元の山菜の煮物。
品数が多すぎず、少なすぎず、ちょうどよかった。
「湯治」という言葉の意味を、ここで初めて体で理解した気がした。
治しに来ている人たちがいる。
その空気が、旅の雑味を取り除いてくれた。
吾妻スカイライン|冬季通行止めの直前が、いちばん美しい
国道115号から入る吾妻スカイライン。
全長約29キロ。
最高地点は標高1,622メートル。
11月上旬、冬季閉鎖が近いタイミングに走った。
路肩に雪が残っている。
木々はすでに葉を落とし、枯れ色の山が続いた。
それが、妙に美しかった。
途中、「浄土平」で車を停めた。
吾妻小富士が目の前にある。
風が強くて、立っているのがやっとだ。
気温は3度。
コンビニで買ったホットコーヒーを握りしめた。
観光シーズンは夏が多いと聞く。
でも、冬の直前のこの時期には誰もいない。
360度、自分だけの景色だ。
注意点が一つ。
毎年11月上旬〜翌4月下旬は通行止めになる。
日程を決める前に、必ず開通状況を確認すること。
行けなかった、では悔しすぎる。
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