津波が来た。 また来た。 そして、また来るだ。 田老はそういう場所だ。 怖いとか、暗いとか、そういう話じゃない。 ここに立つと、人間がどれだけ本気で生きようとしてきたか、それがじわじわ伝わってくる。 岩手県宮古市の北。 リアス海岸の奥に、この町はある。
田老のおすすめスポット
田老の防潮堤|高さ14.7メートル、それでも足りない
防潮堤を見上げると、首が痛くなる。
高さ14.7メートル。
かつては「万里の長城」と呼ばれた。
X字型に交差する全長2.4キロの堤防は、昭和の津波を経験した田老が何十年もかけて作り上げたものだ。
2011年3月11日。
その堤防を、波は越えた。
今は堤防の上を歩ける遊歩道が整備されている。
上に登ると、海が見える。
町が見える。
当日の映像で見たあの光景と、今の静かな風景が、頭の中で重なって離れない。
「伝承の丘」と呼ばれる展望台には、解説パネルがある。
そこに書いてある数字が、重い。
田老地区の死者・行方不明者は200名を超えた。
ただの観光スポットじゃない。
ここは、人の決意が形になった場所だ。
風が強い日でも、来た人は静かに長く立っている。
グリーンピア三陸みやこ|リアス海岸を独り占めする宿
宿に着いてまず、窓を開けた。
目の前に、海がある。
リアス海岸のギザギザした岬が、何重にも重なって奥へ続いている。
夕方だったせいか、光がオレンジと青の間で揺れている。
グリーンピア三陸みやこは、田老の高台にある。
旧・厚生年金の保養施設が再整備されたリゾートホテルだ。
1泊2食付きで1万円台から泊まれる。
このロケーションにしては、安い。
夕食はウニ、アワビ、三陸の魚介。
地元のものをちゃんと出してくれる。
量も多い。
翌朝、6時に起きて露天風呂へ行った。
誰もいない。
海だけあった。
チェックアウトが名残惜しくて、ロビーで30分ぼーっとした。
そういう宿だ。
田老観光ホテル跡|壁だけが残っている、それだけで十分だ
建物の外壁だけが、立っている。
田老観光ホテルは、4階建てのホテルだ。
2011年3月11日、津波は4階まで到達した。
その後、建物は「震災遺構」として保存されることになった。
近くに行くと、鉄筋がむき出しで、コンクリートが欠けている。
でも壁は立っている。
風雨にさらされながら、まだ立っている。
見学は無料。
外から見るだけでなく、中に入ることもできる(要事前確認)。
案内してくれるガイドさんがいる日は、話を聞いた方がいい。
数字じゃなくて、その場所で何があったかを教えてくれる。
観光じゃなくて、見届けに来る場所だ。
言葉が見つからなくなる場所に、旅の意味がある。