フェリーを降りた瞬間、空気が変わる。 潮の匂いと、静けさ。 豊島には、騒がしさがない。 アートと自然が、ただそこに在る。 誰かに見せびらかすためじゃなく、 ただ、感じるために来る島だ。 高松港から高速船で約35分。 その短い時間で、日常とは別の場所に来てしまう。
香川県・瀬戸内海に浮かぶ離島で、アートと農村風景が共存する島だ。高松港からフェリーで約40分、宇野港からも便が出ている。玄関口の家浦港ではレンタサイクルを借りられ、電動アシスト付きなら坂の多い島内も走りやすい。豊島美術館は白い貝殻のような建物の中に展示作品がただ1点、予約制で入場する施設で、繁忙期は1ヶ月前でも予約が埋まる。心臓音のアーカイブは海沿いの小さな建物で、暗がりの中に収集された鼓動の音が満ちる。唐檜の棚田は石積みの段々が海まで連なり、水面が白く光る。フェリーの時刻は季節ごとに変わるため、出発前に確認を。水と光だけが動く空間。
豊島のおすすめスポット
豊島美術館|何もない、のに満ちている
予約しないと入れない美術館がある。
しかも、作品が一つしかない。
丘の上に白い貝殻みたいな建物が現れる。
それが豊島美術館だ。
設計は西沢立衛、中のインスタレーションは内藤礼。
靴を脱いで中に入る。
コンクリートの床に、水が湧いている。
ポコ、と生まれて、すうっと消える。
天井には二つの大きな穴。
風が通って、光が動く。
時間によって、空間の表情が全然違う。
ここでは何かをするわけじゃない。
ただ座って、水を見て、空を見る。
それだけで1時間が過ぎている。
入館料は1,570円。
完全予約制で、人数が制限されている。
静かなのは、そのせいでもある。
混んでいたら、この体験にはならない。
事前予約は必須。これだけは本当に守ってほしい。
心臓音のアーカイブ|世界中の鼓動が、この島にある
正直、最初は半信半疑だ。
「心臓の音を集めた美術館」って、何それ。
海沿いの小屋みたいな建物に入ると、暗い。
スピーカーから、ドクン、ドクン、と音が聞こえる。
クリスチャン・ボルタンスキーの作品だ。
世界中から集めた心臓音を再生している。
今もどんどん登録されていて、数万件以上。
その中に、亡くなった人の音も混じっている。
もうここにしか残っていない、生きていた証。
そう思った瞬間、なんか泣きそうになった。
自分の心臓音も録音して登録できる。
料金は2,000円。
ここに来たなら、絶対やってほしい。
暗闇の中で自分の鼓動を聞くのは、
少し怖くて、でも不思議と落ち着く体験だ。
豊島に来なければ、こんな気持ちにはなれない。
唐檜の棚田|絵みたいな風景が、本物だ
豊島の内陸部、坂道を自転車で上っていくと、
突然、棚田が現れる。
唐檜(からひ)の棚田。
海を背景に、段々畑が広がっている。
最初、写真で見た景色だ。
でも、本物だ。
風が草を揺らして、遠くに海が光っている。
一時期、耕作放棄が進んで荒れていたらしい。
NPOや地域の人たちが何年もかけて蘇らせた。
今は実際にお米が育っている。
入場料はかからない。
ただそこに立って、見る。
午前中に来ると、光の角度がちょうどいい。
棚田の緑と海の青が、全部同じ画面に入る。
アートでも美術館でもないけど、
ここが豊島で一番「静かに感動した」場所だっただ。
島のことが、少し好きになる風景だ。
モデルコース
豊島への行き方
📍 Googleマップで見る →現地の駐車場情報は公式サイトでご確認ください
途中の乗換 2 件を表示
宿数が少ないため早めの予約を。
高松を拠点に豊島へ日帰り・宿泊の旅も便利です