松山から車で30分。 そこに、やきものの町がある。 砥部焼という言葉は知っていても、実際に窯元が並ぶ町を歩いたことがある人は少ないだ。 白地に藍色の模様。 シンプルなのに、手放したくない器がある。 そして動物園まである、という意外さ。 砥部は、のんびり深く、一日使う価値がある場所だ。
砥部のおすすめスポット
砥部焼観光センター|手に取ると、欲しくなる
入口をくぐると、棚いっぱいに器が並んでいる。
圧倒される、というより、静かに引き込まれる感じ。
砥部焼の特徴は、あの白さだ。
乳白色というか、少し青みがかった白。
そこに呉須(ごす)で描かれた藍の模様が乗る。
魚、花、唐草。
どれも手描きだから、同じ柄でも微妙にちがう。
それが、また良かった。
観光センターでは、絵付け体験が1,000円前後からできる。
所要時間は約1時間。
白い素地に自分で筆を入れる。
「うまく描けるかな」と思っていたけど、藍色の絵具は意外に伸びがよく、線がすっと引けた。
焼き上がった作品は、後日郵送してもらえる。
届いた器を手にしたとき、また砥部に行きたくなった。
ショップには1,000円台から買える豆皿もある。
旅の最後に必ず寄る場所になった。
とべ動物園|入場500円で、ライオンと目が合う
入場料500円、という数字を聞いて少し驚いた。
安すぎないか、と。
広さは約40ヘクタール。
ゆっくり全部回ると3〜4時間はかかる。
ゾウ、ライオン、キリン、レッサーパンダ。
動物の種類は約180種。
規模感が、想像より全然でかかった。
特に印象に残ったのは、ホッキョクグマのコーナーだ。
ガラス越しに、あの白くて巨大な生き物と正面から向き合う。
目が合うと、足が止まった。
近い。
こわいくらい近い。
平日午前中に行くと、かなり空いている。
動物たちも活発に動いている時間帯だ。
子連れが多い場所だけど、大人だけで来ても全然楽しめる。
むしろ大人のほうが、じっと見てしまうだ。
ランチは園内のレストランより、近くのうどん屋に出たほうがいい。
そのほうが愛媛らしい午後になる。
砥部の街歩き|窯元の煙突と、静かな午後
砥部町には、100を超える窯元がある。
その多くが、住宅街の中にひっそりと工房を構えている。
観光センターからぶらぶら歩くと、玄関先に器を並べた小さな直売所に出くわす。
「いらっしゃい」ではなく、ただ並んでいる。
押しつけがない分、ゆっくり見られた。
梅野精陶所あたりの路地は特に好きだ。
煙突と、窯の匂いと、静かな時間。
これが「産地」というものだ。
砥部焼の器は、松山市内のデパートでも買えるけど、ここで買うのとはちがう。
作っている場所で手に取る、という体験が器に重なる。
それが、砥部まで来る理由だ。
昼ごはんは、町内のうどん屋「岡製麺所」が行列になっている。
地元の人が普通に食べに来る店。
釜あげうどんが600円台で、コシが強くて満足度が高かった。
観光客向けではない、その感じがよかった。