那覇から船で約3時間。 フェリーを降りた瞬間、空気が変わった。 観光客がいない。 信号もほとんどない。 売店は夕方に閉まる。 そういう島だ。 伊平屋島は、沖縄なのに沖縄らしくない。 リゾートでもない、テーマパークでもない。 ただ、時間がゆっくり流れている場所。 それが、ここに来たくなる理由だ。
伊平屋島のおすすめスポット
念頭平松|樹齢数百年、この松だけが知っている
県道を走っていると、突然視界に飛び込んでくる。
道のど真ん中に、松がある。
いや、松が「いる」という感じだ。
樹齢は推定200〜300年とも言われている。
高さ約6m。
幹が何本にも分かれて、横に横に広がっている。
枝の先まで行くと、もう幹がどこにあるかわからなくなる。
そばに立つと、ものすごく静かだ。
風が吹いても、松の枝がかすかに揺れるだけ。
観光バスは来ない。
案内板はある。
でも誰もいない。
15分くらい、ただその松を眺めている。
バカみたいだけど、それが正解な気がした。
「国の天然記念物」という肩書きより、
その場の空気の方がずっと雄弁だ。
田名ビーチ|誰もいない海が、ここにあった
8月の午前10時。
砂浜に、人が3人いた。
沖縄の8月に、これだけしかいない。
それがまず驚きだ。
透明度が高い。
というより、水が「透き通っている」という感覚とも違う。
光の粒が海底まで届いている。
シュノーケルを持っていけばよかったと後悔した。
でも持っていなかったから、ただ海に入った。
波もほとんどなく、静かな海だ。
砂が白くて細かくて、足に絡みつく感じがある。
売店はない。
トイレはある(1棟だけ)。
飲み物は絶対に持参した方がいい。
近くにコンビニはない。
島の北端に近いこともあって、
海の向こうに与論島がうっすら見える。
あの方角が鹿児島だと気づいて、
ここが沖縄の端っこにいるんだと実感した。
クマヤ洞窟|神話の入口に、ひとりで立った
神武天皇が生まれた場所とも伝わる洞窟。
そんな説明は、正直どうでもよかった。
実際に行ってみて、息をのんだ。
巨大な岩が積み重なっていて、
その隙間から光が差し込んでいる。
洞窟の中は思ったより広かった。
奥行きは20mほど。
天井が高い。
ひんやりしている。
8月の外気温が33度あったのに、
中に入った瞬間に空気が変わった。
誰も来ない。
10分ほど洞窟の奥に座っている。
音が消えた。
波の音だけが遠くから聞こえる。
パワースポットという言葉は嫌いだけど、
「何かある」という感覚はあった。
言葉にならない。
でもそれでいい気がした。
足元が岩場なので、サンダルは危ない。
スニーカーで行くことを強くすすめたい。