松山から車で1時間半、宇和島の沖合に浮かぶ小さな島。 戸島に渡るフェリーは1日数本しかない。 そのアクセスの悪さが、逆にいい。 観光地化されていない、本物の漁師の島がそこにある。 カキの香りと潮風と、静かな時間だけがある場所だ。
戸島のおすすめスポット
戸島港|島の入口で、もう空気が違う
フェリーが岸壁に近づいた瞬間、目に飛び込んでくる。
青いブイと、白い漁船と、積み上げられたロープ。
いかにも「漁師の島」という風景だ。
港の待合所は小さくて、自販機が2台だけ置いてある。
それ以上のものは何もない。
でも、それがちょうどいい。
島の人口は約300人。
フェリーが着くと、地元の人がぽつぽつと荷物を引き取りに来る。
宅配便の箱を抱えながら、お互い笑顔であいさつしている。
観光客はほとんどいない。
港沿いを歩くと、軒先でおじさんが網を修理している。
目が合ったら「どこから来たん?」と普通に話しかけてきた。
島の時間の流れ方が、もう違う。
フェリーを降りた5分後に、そう確信した。
宇和島港からのフェリー乗船時間は約35分。
片道640円。この値段で、別の世界に連れてってもらえる。
カキ養殖場|海の上に、宝が浮いている
戸島はカキの産地として知る人ぞ知る島だ。
宇和海の豊かなプランクトンで育つここのカキは、身が厚くて甘い。
養殖場は港から歩いてすぐのところにある。
海面に長いいかだが連なっていて、そこからロープが垂れている。
そのロープに、カキがびっしりついている。
壮観だ。
地元の漁師さんに声をかけたら、作業の様子を少し見せてもらえた。
収穫したカキを手作業でばらしていくのだが、これがかなりの重労働だ。
「1日中やるんですか?」と聞いたら「そうよ、冬はずっとこれ」と笑っている。
島内でカキを食べるなら、地元の方に聞くのが一番早い。
観光用の食事処は少ないが、タイミングが合えば直売で売ってもらえることもある。
剥きたてのカキを塩水で洗って、そのまま口に入れる。
磯の香りが広がって、海の味がした。
これだけのために、また来てもいい。
本格的なカキのシーズンは11月〜3月。この時期を狙って行くべきだ。
展望台|この景色が、来た理由になる
島の高台に展望台がある。
港から歩いて20〜30分。
道は細くて、途中から舗装がなくなる。
正直、なかなかしんどい登り道だ。
真夏だったら無理だっただ。
春か秋がいい。
それでも上りきった先の景色が、全部帳消しにしてくれる。
宇和海の青が、360度広がっている。
ポツポツと養殖のいかだが浮いていて、遠くに九島や嘉島が霞んで見える。
風が常に吹いていて、気持ちよかった。
人がいない。
その日も、展望台には誰もいない。
こんな景色を独り占めしていていいのかと、少し申し訳ない気持ちになるくらいだ。
ベンチに座って30分、ぼんやりしている。
何も考えない。
それができる場所が、今の時代どれだけ貴重か。
帰りの最終フェリーの時間は絶対に確認してから登ること。
乗り遅れたら、島に泊まるしかなくなる。
それはそれでいいだけれど。
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戸島への行き方
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