雪が積もった朝、金山の街を歩いた。 白い世界に、黒と白の建物が並んでいる。 うるさくない。 主張しない。 ただ、静かにそこにある。 山形の中でも、こんなに「整っている」町に出会うとは思っていない。 金山町は、観光地ではない。 生活が続いている場所だ。 それが、逆に刺さる。
金山町のおすすめスポット
金山の景観(重要文化的景観)|黒と白だけで、こんなに美しい
金山の町並みを最初に見たとき、「作ってる」。
でも違った。
江戸から昭和にかけて、ここで暮らした人たちが積み上げてきた形がそのまま残っている。
白壁と黒板張りの「金山型住宅」が通りに並ぶ。
統一感があるのに、全部少しずつ違う。
住んでいる人の気配がある。
洗濯物が干してある家もある。
車が止まっている。
それが、すごくいい。
2012年に国の重要文化的景観に選定された。
観光のために整備した景観じゃない。
町が生き続けた結果として、今の姿がある。
雪の日は特別だ。
屋根から落ちてきた雪が道脇に積み上がって、白い壁と白い雪の境がわからなくなる。
15時を過ぎると人が減る。
その時間帯に歩くのをおすすめしたい。
光が斜めになって、建物の陰影がはっきり出る。
写真が勝手によく撮れる。
金山杉の森|樹齢100年の杉が、音を消す
金山杉の森に入ると、音が変わった。
風の音が消える。
足元の雪を踏む音だけが残る。
金山杉は、樹齢100年を超えるものも多い。
幹が太く、まっすぐ上に伸びている。
枝が少ない。
だから空が見える。
山形の杉材としてブランド化されており、地元の建築にも使われてきた素材だ。
森の中には整備された散策路がある。
スノーシューを借りて歩くのが一番いい。
金山町の観光協会で1日500円で貸し出している。
スニーカーで来たことを少し後悔した。
杉の根元に雪が積もって、白い丸いかたまりができている。
それが点々と続く光景は、ちょっとおかしくて、ちょっと美しい。
人が少ない。
冬の平日、2時間歩いて誰にも会わない。
それが贅沢だ。
静けさを買いに来た人には、ここが一番刺さるはずだ。
金山温泉|1日の終わりに、ここがある
金山温泉の湯につかった瞬間、体の芯からほぐれた。
雪の中を歩き回った後の温泉は、別格だ。
金山温泉は、町なかから車で10分圏内にいくつかある。
「金山温泉」として親しまれている日帰り入浴施設は、地元のお年寄りが多かった。
脱衣所で金山弁が飛び交っている。
それを聞きながら湯に入るのが、なんかいい。
泉質はナトリウム—塩化物泉。
よく温まる。
そして、肌がつるっとする。
浴室は小さい。
シャンプーは置いていない施設もある。
持参した方がいい。
入浴料は400円前後のところが多い。
温泉を出て、外の冷気に当たる。
雪が少し降っている。
体からほかほかと湯気が出ている。
こういう瞬間のために旅をしているんだ。
夜、金山の町がしんと静まり返る前に、もう一度だけ外に出た。
誰もいない通りに、雪が積もっている。