硫黄の匂いが、鼻をつく。 もくもくと白い煙が、あちこちから噴き上がっている。 冬の雲仙は、どこか別の惑星みたいだ。 気温は5度を下回る。 でも、足元の地面だけが、熱を持っている。 この不思議な場所に、また来たくなる理由がある。
雲仙温泉のおすすめスポット
雲仙地獄|硫黄と煙の中に、立っている
朝8時に着いた。
観光客がまだ少ない時間帯を、狙った。
白い蒸気が、低く地面を這っている。
硫黄の匂いが、服に染み込む。
歩いていると、足元の土がじんわり温かい。
地獄は全部で30か所以上ある。
「大叫喚地獄」という名前がすごい。
実際に近づくと、ぼこぼこと泥が煮えている。
冬の朝は特別だ。
冷たい空気のせいで、湯煙がより白く、より濃く見える。
写真を撮ろうとして、気づいたら1時間経っている。
入場料はかからない。
遊歩道を歩くだけ。
それなのに、あの迫力は本物だ。
地面が生きている。
それ以上でも以下でもない。
小浜温泉|105度の海岸線で、足を伸ばす
雲仙から車で約20分。
海沿いに降りると、景色が変わる。
小浜温泉は、日本一長い足湯があることで有名だ。
全長105メートル。
橘湾を眺めながら、ただ足を湯に浸ける。
行ったのは夕方4時ごろ。
西の空がオレンジに染まっている。
湯の温度は42度前後。
足先からじんわり、体全体が温まってくる。
無料で入れる。
タオルだけ持っていけばいい。
足湯の前の海から、湯気が立っているのが見える。
海底からも温泉が湧いているらしい。
冬の夕暮れに、ここで30分過ごした。
何もしなくていい時間だ。
それが、妙に贅沢に感じた。
仁田峠|雲の上から、島原半島を見下ろす
標高1080メートル。
冬は路面が凍ることがある。
ロープウェイで山頂近くまで上がった。
片道約3分。料金は往復1250円。
上に着いた瞬間、風が来た。
立っていられないくらい、強い風だ。
気温は麓より8度は低い。
でも、その先に広がっていたのは——
雲海だ。
島原半島がぽこぽこと雲の上に顔を出している。
天気が良ければ、熊本の阿蘇方面まで見える。
この日は快晴だ。
たまたま。
運が良かっただけ。
だから、なおさら忘れられない景色になった。
ロープウェイを降りた後、峠の駐車場で少し歩いた。
霜が踏まれていない場所に残っている。
冬にしか来られない景色が、ここにある。