冬の朝、嬉野に着いた。 駅を出た瞬間、白い湯気が空に漂っている。 温泉街特有のあの匂い。硫黄でも塩素でもない、やわらかい重曹の香り。 ここの湯は、肌をとろかすと言われている。 実際に浸かるまで、半信半疑だ。
嬉野温泉のおすすめスポット
シーボルトの湯|明治の建物で、とろとろの湯に溶ける朝
開館は6時30分。
朝イチで向かった。
大正ロマンを思わせる白い外観が、冬の朝霧の中に浮かんでいた。
入浴料は440円。
これで2時間、ゆっくり入れる。
浴槽に足を踏み入れた瞬間、わかった。
ぬるっ、としている。
水ではなく、湯がそう感じさせる。
嬉野の湯は重曹泉。
肌の角質を溶かすと地元の人が言っていた言葉が、腑に落ちた。
40分ほど浸かって、外に出た。
顔を触ると、本当にすべすべしている。
化粧水をつけたわけでもないのに。
朝の温泉街はほぼ人がいない。
湯煙だけが漂っている。
この時間帯に来て正解だ。
嬉野茶の農園|霜が残る畑で、緑茶の本気を知った
嬉野は温泉だけじゃない。
日本有数の茶産地でもある。
農園を訪ねたのは午前10時ごろ。
冬の畑には霜が残っている。
茶摘みのシーズンではないのに、農園の方が迎えてくれた。
畑に立つと、緑茶の香りが鼻をついた。
剪定された茶葉が整然と並ぶ様子は、どこか美しかった。
試飲させてもらった嬉野茶は、甘みが強かった。
苦みが少ない。
重曹を含む嬉野の水で淹れると、さらにまろやかになると教わった。
温泉水で淹れるお茶、というのが嬉野の文化らしい。
50gのお茶を買った。700円。
帰宅後に飲んだとき、あの霜の朝を思い出した。
観光農園としての整備はまだ途上。
だからこそ、リアルな産地の空気がある。
不動山温泉|地元しか知らない、山の中の湯
地元の人に「どこか穴場ない?」と聞いたら、ここを教えてもらった。
嬉野市街から車で約15分。
山の中に、ぽつんと施設がある。
看板が小さくて、一度通り過ぎた。
入浴料は300円。
脱衣所は簡素。
でも、湯は本物だ。
内湯だけのシンプルな造り。
窓の外には冬枯れの山が広がっている。
ほかに客はいない。
静かだ。
本当に静かだ。
シーボルトの湯とは別の意味で、時間が止まる場所。
湯温は42度前後。
少し熱め。
冷えた体に染みた。
ここは観光客向けではない。
地元のおじいちゃんが毎日来るような湯。
だから良かった。
嬉野に来るなら、一度は寄ってほしい。
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嬉野温泉への行き方
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