東京から電車で90分。 それだけで、あの湯気の匂いに包まれる場所にたどり着く。 湯河原は、派手じゃない。 でも、来るたびに「また来たい」。 冬に来ると、その気持ちがさらに強くなった。 空気が冷たいぶん、温泉の熱さが体に深く染みるから。
湯河原温泉のおすすめスポット
湯河原温泉街|冬の平日、人が少なくて、ちょうどよかった
駅を出ると、すぐ温泉の香りがした。
バスに乗って約10分、温泉街の中心部に着く。
平日の冬は、本当に静かだ。
旅館の看板、小さな土産物屋、細い路地。
ゆっくり歩いても誰にもぶつからない。
温泉街の中心を流れる千歳川のそばに、無料の足湯がある。
ベンチに腰かけて、15分ほど足を入れた。
じんわりと、指先まで温まっていくのがわかった。
夕方5時を過ぎると、旅館の灯りがつき始める。
その時間の温泉街が、いちばん好きだ。
提灯の明かりと湯気が混ざって、なんとも言えない空気になる。
食事は温泉街にある小さな食堂で。
地元の人が来るような店は、量が多くて値段が安い。
1,000円以下でアジフライ定食が食べられた。
こういう発見が、旅を豊かにする。
万葉公園|思ってたより、ずっと山の中だ
温泉場バス停から歩いて5分。
坂を上り始めると、急に景色が変わる。
公園というより、渓谷に近い。
千歳川沿いに遊歩道が続いていて、
歩くたびに川の音が大きくなっていく。
冬は紅葉が終わりかけの時期だったけれど、
それでも十分きれいだ。
葉が落ちたぶん、渓谷の岩肌や川の流れがよく見える。
公園内に「独歩の湯」という足湯スポットがある。
14種類の足湯槽が並んでいて、料金は大人300円。
温度が場所によって違うのが面白い。
熱めの槽に移った瞬間、思わず声が出た。
万葉集の歌碑が園内に点在している。
ひとつひとつ読みながら歩くと、1時間以上かかる。
そんなに時間をかけるつもりじゃなかったのに、
気がついたら昼を過ぎている。
急がなくていい場所、というのはこういうことだ。
落合楼村游|130年の宿に、一晩泊まった
創業は明治時代。
130年以上の歴史を持つ宿が、落合楼村游だ。
玄関に入った瞬間、空気が変わった。
古い木の匂い、高い天井、磨き込まれた廊下。
「古い」と「丁寧」が混ざった場所だ。
客室は渓谷に面していて、
窓を開けると川の音だけが聞こえる。
スマホを置きたくなる空間というのは、
ここみたいなところを言うのだ。
温泉は内湯と露天があり、
冬の露天が格別だ。
外気温が10度を下回る夜、湯船の縁に積もった霜を見ながら、
ぼんやりとお湯に浸かった。
30分は出られない。
料理は神奈川の食材を使った和食のコース。
地元の相模湾で獲れた魚が出てきた。
この宿のために来る価値がある、と思えた夜だ。
料金は1泊2食付きで1人約30,000円〜。
安くはない。
でも、また来たいと思っている。