高知市から車で2時間。 ずっと山道を走り続けて、やっと着く。 梼原は、そういう場所だ。 人口3,000人台の小さな山の町に、隈研吾が設計した建物がいくつもある。 なぜここに?。 でも着いたら、わかった。 この静けさの中にこそ、建築は映える。
梼原のおすすめスポット
ゆすはら座|明治の芝居小屋が、今もそこで息をしている
1897年建造。
127年前の芝居小屋が、今も現役で使われている。
外観はどこか古い映画館のよう。
中に入ると、木の匂いが鼻をついた。
ぎしぎし鳴る床板。
天井から下がる古い照明。
舞台の奥には「廻り舞台」まである。
地方にこれほど保存状態のいい芝居小屋があるとは、思っていない。
ガイドのおばあさんが「昔は村中の人が集まってにぎやかだった」と話してくれた。
その言葉が、空間に重なった。
入館料は100円。
安すぎる。
これだけの空間を残してきた人たちの時間と手間を思うと、胸に来るものがあった。
演目のある日に合わせて来られたら、最高だ。
梼原を旅するなら、ここは外せない。
まちの駅ゆすはら|隈研吾が山の中に置いた、静かな異物
道の駅、とひとことで言いたくない。
杉の板を積み重ねたような外壁。
垂直に組まれた木材が、霧の中に溶けていく。
隈研吾設計の建物は何度か見たことがあるけれど、梼原の森の中で見るそれは、別物だ。
建物の中にはホテル「雲の上のホテル」が入っている。
1泊1万円台から泊まれる。
ロビーに座ると、窓の外は山しか見えない。
Wi-Fiはある。でも使わない。
物産コーナーには梼原産のゆず商品が並ぶ。
ゆずの塩、ゆずのジャム、ゆずの焼酎。
ここに来るまでゆずが特産とは知らない。
ゆずドリンクを飲みながら、縁側みたいな外の席で山を眺めた。
30分以上、ぼーっとしている。
観光地らしい騒がしさが一切ない。
それが、ここの一番の贅沢だ。
雲の上の図書館|本棚の向こうに、山が見える
2018年開館。
隈研吾と梼原町が組んで作った図書館だ。
入口を入ると、まず天井の高さに驚く。
木組みの構造がそのまま見えている。
梼原産の杉材をふんだんに使った内部は、温かみがあって、でも軽い。
窓の外はどこを見ても山だ。
本を開いて、視線を上げると、緑がある。
これが日常の風景として積み重なっていく子どもたちのことを、少し羨ましい。
司書のかたに声をかけたら、梼原のことを丁寧に教えてくれた。
「冬は雪が積もります。霧もよく出て。でもそれが好きで」と言っている。
入場無料。
町民のための場所だけど、旅人にも開かれている。
静かに2時間ほど過ごした。
声を上げたくなる派手さはない。
でも帰りたくない。
それが答えだ。
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梼原への行き方
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