北海道の北端近く、天塩川のほとりに温泉がある。 観光地らしい賑わいはない。 でも、それがいい。 雪がしんしんと降る中、湯けむりだけが静かに立ち上る。 ここに来ると、「旅」という言葉の本来の意味を思い出す気がした。
北海道北部、天塩川沿いに湧く温泉地。冬に訪れる旅行者が多く、川霧の朝に共同湯で地元の人と肩を並べて湯につかるのが定番の過ごし方だ。札幌駅から長距離バスで向かい、東京からは約11時間22分かかる。天塩川歴史資料館は木造建物に川運時代の船具や生活道具を収め、アイヌ民族と和人が交易の要として天塩川を活用してきた歴史を伝える。天塩海岸の夕日ビーチでは日本海に沈む夕陽が砂浜を茜色に染め、冬は白波が激しく打ちつける。路面凍結が激しいため、移動前にスタッドレスタイヤの装着を確認したい。川霧のなか、湯気だけが立つ朝。
天塩温泉のおすすめスポット
天塩川温泉|川沿いの湯に、時間の感覚が溶けていく
脱衣所からガラス越しに川が見える。
それだけで、もう十分だ。
天塩川温泉の内湯は、広くも狭くもない。
でも窓の外に広がる雪景色と川面が、すべてを特別にする。
お湯はナトリウム塩化物泉。
ぬるめで長く浸かれる。
気づいたら40分、湯の中にいた。
入浴料は500円。
朝10時から夜9時まで営業している。
地元のお年寄りが毎日来るような、そういう温泉だ。
露天はない。
シャワーの数も多くない。
でも、余計なものがないからこそ、窓の外の景色に集中できる。
冬に来て、正解だ。
雪が積もった川岸と、湯気と、静寂。
この組み合わせは、夏には出せない。
天塩町の街歩き|誰もいない雪道で、北の端を実感する
温泉から歩いて10分ほど、天塩町の中心部へ出た。
人口約3,000人の小さな町。
メインストリートを歩いても、すれ違う人は数人だ。
驚いたのは、空の広さだ。
建物が低いから、どこを向いても空が見える。
雪が降り続ける灰色の空が、水平線まで続いている感じ。
道の駅「てしお」は、町の情報収集に便利だ。
地元の漁師が水揚げした塩だこや甘エビが並ぶ。
冬でも日本海産の魚介が入荷している。
食堂で頼んだ「たこラーメン」が700円。
ぶつ切りのたこがごろごろ入っていて、漁師町らしい豪快さがあった。
観光名所と呼べるものはほとんどない。
それでも、この景色と静けさは、ここでしか味わえない。
北の端まで来た、という感覚だけが残る。
天塩川の夕暮れ|オレンジと白だけの世界
夕方4時すぎ、日が落ちはじめた天塩川の河川敷に立った。
冬の北海道は日暮れが早い。
午後4時半にはもう、空がオレンジに染まっている。
川幅がとにかく広い。
天塩川は全長256km、北海道で2番目に長い川だ。
その下流に来ているから、川というより「水の平原」に近い。
雪の白と夕日のオレンジだけが視界に広がる。
カメラを向けたが、うまく撮れない。
これは画面には収まらない景色だ。
風が強く、体感気温はマイナス10度を超えている。
それでも、しばらく動けない。
温泉があって、こういう景色がある。
天塩に来る理由は、その二つで十分だ。
ただ、防寒だけは妥協しないほうがいい。
カイロを貼っても、10分が限界だ。
モデルコース
天塩温泉への行き方
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