北海道の北端近く、天塩川のほとりに温泉がある。 観光地らしい賑わいはない。 でも、それがいい。 雪がしんしんと降る中、湯けむりだけが静かに立ち上る。 ここに来ると、「旅」という言葉の本来の意味を思い出す気がした。
天塩温泉のおすすめスポット
天塩川温泉|川沿いの湯に、時間の感覚が溶けていく
脱衣所からガラス越しに川が見える。
それだけで、もう十分だ。
天塩川温泉の内湯は、広くも狭くもない。
でも窓の外に広がる雪景色と川面が、すべてを特別にする。
お湯はナトリウム塩化物泉。
ぬるめで長く浸かれる。
気づいたら40分、湯の中にいた。
入浴料は500円。
朝10時から夜9時まで営業している。
地元のお年寄りが毎日来るような、そういう温泉だ。
露天はない。
シャワーの数も多くない。
でも、余計なものがないからこそ、窓の外の景色に集中できる。
冬に来て、正解だ。
雪が積もった川岸と、湯気と、静寂。
この組み合わせは、夏には出せない。
天塩町の街歩き|誰もいない雪道で、北の端を実感する
温泉から歩いて10分ほど、天塩町の中心部へ出た。
人口約3,000人の小さな町。
メインストリートを歩いても、すれ違う人は数人だ。
驚いたのは、空の広さだ。
建物が低いから、どこを向いても空が見える。
雪が降り続ける灰色の空が、水平線まで続いている感じ。
道の駅「てしお」は、町の情報収集に便利だ。
地元の漁師が水揚げした塩だこや甘エビが並ぶ。
冬でも日本海産の魚介が入荷している。
食堂で頼んだ「たこラーメン」が700円。
ぶつ切りのたこがごろごろ入っていて、漁師町らしい豪快さがあった。
観光名所と呼べるものはほとんどない。
それでも、この景色と静けさは、ここでしか味わえない。
北の端まで来た、という感覚だけが残る。
天塩川の夕暮れ|オレンジと白だけの世界
夕方4時すぎ、日が落ちはじめた天塩川の河川敷に立った。
冬の北海道は日暮れが早い。
午後4時半にはもう、空がオレンジに染まっている。
川幅がとにかく広い。
天塩川は全長256km、北海道で2番目に長い川だ。
その下流に来ているから、川というより「水の平原」に近い。
雪の白と夕日のオレンジだけが視界に広がる。
カメラを向けたが、うまく撮れない。
これは画面には収まらない景色だ。
風が強く、体感気温はマイナス10度を超えている。
それでも、しばらく動けない。
温泉があって、こういう景色がある。
天塩に来る理由は、その二つで十分だ。
ただ、防寒だけは妥協しないほうがいい。
カイロを貼っても、10分が限界だ。
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天塩温泉への行き方
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