熊の湯、という名前に少しだけ怯んだ。 でも実際に行ってみたら、怯んでいた自分が恥ずかしくなった。 知床の奥、川のすぐそばに湧く野趣あふれる温泉。 冬はマイナス20度を下回ることもあるのに、 お湯だけが白い湯気を上げて静かに待っている。
林道を抜けた先、川のすぐそばに緑がかった湯色の露天風呂が現れる。マイナス20度を下回ることもある冬でも、湯だけが白い湯気を上げて静かに待っている。「熊の湯」の名に怯むかもしれないが、たどり着けばその野趣あふれる湯浴みの虜になる——この原始的な入浴体験は、ここでしか味わえない。湯は男女別で、川音を聞きながらの湯浴みが心に残る。北のダム湖ではオオワシやオジロワシに出会え、冬は青白く氷結した滝が非日常を演出する。拠点は札幌駅で、二次交通はバス。レンタカーの利用がおすすめだ。
平田内温泉のおすすめスポット
平田内温泉熊の湯|雪の中に、緑色の湯が湧いている
林道を車で走ること約20分。
舗装も途切れがちな道を抜けると、急に開ける。
そこに、緑がかった湯色の露天風呂があった。
料金は無料。
そう、タダだ。
協力金箱に少し入れるだけで、誰でも入れる。
冬の気温はマイナス15度ほど。
脱衣所は小屋があるだけで、かなり寒い。
着替えは素早く済ませるしかない。
でも湯に浸かった瞬間、そんなことはどうでもよくなった。
熱め、43度前後のお湯が芯まで温める。
頭の上には雪。
周りには原始林。
川のせせらぎが聞こえる。
観光客はほとんどいない。
いたのは地元のおじさん2人だけだ。
「この湯、東京には売ってないべ」と笑いながら言われた。
その通りだ。
岩尾別川沿いの雪道|足跡は、キツネのものだ
温泉の近くに、川沿いの遊歩道がある。
夏はヒグマ出没で閉鎖されることも多い。
冬のほうが、むしろ歩きやすかった。
雪が積もった川沿いの道を歩く。
誰もいない。
音がない。
足元をよく見ると、小さな足跡が続いている。
キツネだ。
まっすぐに、どこかへ向かっている。
冬の知床は、動物たちの時間が流れている。
エゾシカが対岸に3頭。
こちらには気づかず、川沿いの草を探している。
歩いた距離は往復1.5キロほど。
30分もあれば十分だけど、
気づくと1時間以上いた。
スマホをポケットにしまった。
写真より、この空気を直接受け取りたかった。
知床自然センター|温泉の前に、ここで予習する
平田内温泉を目指すなら、まずここに寄る。
知床自然センター。
ウトロ市街から車で15分ほど。
入館は無料。
ヒグマの出没情報、道路状況、雪の深さ。
スタッフに聞けばすぐ答えてくれる。
冬に来てよかったのは、ここのスタッフの熱量だ。
「今日は熊の湯、入れますよ」の一言で、
気持ちが一気に高まった。
シアタールームでは知床の映像が流れている。
ヒグマが川でサケを捕る映像。
オオワシが空を旋回する映像。
これから向かう場所の姿を、先に見てしまう。
そうすると、現地での感動の解像度が上がる。
売店には知床限定のアイテムも。
熊のラベルがついたラーメンを買って帰った。
値段は600円。
荷物にならないし、土産話になる。
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平田内温泉への行き方
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