雪の中に、白い湯気が立ち上っている。 神居岩温泉は、北海道・留萌市の山あいに静かに存在する。 派手な看板も、混雑した駐車場もない。 あるのは、山と雪と、源泉かけ流しの湯だけ。 そこに来る人は、みんな同じ顔をしている。 「やっと来られた」という顔を。
北海道・沼田町の奥に湧く源泉かけ流しの温泉施設。札幌駅を起点に、冬道の凍結を考慮してスタッドレス装着の4WDかレンタカーで向かうのが基本だ。神居岩温泉は山と雪に囲まれた湯処で、派手な設備はなく、湯船とゆっくりした時間があるだけ。平日午前は空いている。タオルは持参を。隣接する神居岩公園には岩山をめぐる散策路が整備されており、湯上がりに歩いて回れる。おすすめ滞在は1泊で、温泉に2回入って部屋でくつろぐ過ごし方が定番。冷えた体で湯船へ沈む瞬間が、この場所の主役だ。
神居岩温泉のおすすめスポット
神居岩温泉|脱衣所で震えて、湯船で溶ける
外気温はマイナス10度を下回っている。
脱衣所の空気が冷たくて、服を脱ぐのが少し怖い。
それでも、湯船に足を入れた瞬間に全部どうでもよくなった。
温度は42〜43度。
ぬるめが好きな人には少し熱い。
でも、この熱さがいい。
芯まで温まる、という感覚がやっとわかった。
源泉は重曹泉。
肌がすべすべになる、と地元の常連さんが教えてくれた。
「週3で来てる」と言っている。
それが全てを物語っている。
露天風呂から見える山は、夕方になると薄紫に染まる。
観光地にはない、生活の中の温泉がここにある。
料金は大人500円。
この値段で、この湯に入れるのは正直ずるい。
神居岩山麓の雪道|誰も歩いていない、を歩く
温泉に向かう道が、すでに旅だ。
除雪はされているが、足元は圧雪でぴかぴかに光っている。
一歩踏み出すたびに、ぎゅっと音がする。
周囲に人がいない。
車も来ない。
聞こえるのは、自分の足音と風だけ。
こういう静けさは、都市では絶対に手に入らない。
頭が空っぽになるのに、5分もかからない。
神居岩は標高430メートル。
頂上まで登るルートもあるが、冬はアイゼンが必要。
無理に上を目指さなくていい。
山麓をぶらぶら歩くだけで十分すぎる景色がある。
木に積もった雪が、風で落ちる瞬間を見た。
ふわっと白い粉が舞って、3秒で消えた。
その3秒を見るためだけに、また来たい。
留萌の食堂|旅の締めはここ以外ない
温泉上がりに、お腹が限界だ。
留萌の市街に小さな食堂が数軒ある。
派手な外観は一切ない。
暖簾をくぐると、地元のおじさんたちが黙々と食べている。
注文したのは豚丼、850円。
北海道の豚丼は、甘辛いタレとボリュームが命。
肉が3枚どころじゃない。
5枚以上は乗っている。
窓の外は雪。
店内は薄暗くてちょっと古い。
でも、この雰囲気がいい。
観光客向けに整えられていない場所には、本音がある。
食べ終わって外に出たら、また雪が降り始めている。
コートの襟を立てながら、次に来る季節を想像した。
夏の神居岩も、きっといい。
でも冬のこの感じは、冬にしか来られない。
モデルコース
神居岩温泉への行き方
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